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行政書士とうきょう

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2014年5月号:特集

行政書士という生き方(群馬県行政書士会 中澤照雄さん)
みかぼ市民オーケストラの団長として、シビックプライドを守り、育てる

“シビックプライド”という言葉がある。ちょっと聞き慣れない言葉だが、「都市に対する誇りや愛着」という意味らしい。よく耳にする「郷土愛」とのニュアンスの違いは、「自分自身が都市を構成する一員であると自覚し、都市をより良い場所にするための取り組みに関わろうとする当事者意識を伴」うということだそうだ。*1
そんな“シビックプライド”の育成者と形容するにぴったりの行政書士さんが群馬県藤岡市にいらっしゃると聞き、インタビューに伺ってきた。群馬県随一の経済都市高崎市と、富岡製糸場世界遺産登録の可能性に湧く富岡市に比べると、知名度は高くない人口6万8千人の藤岡市。だが、そこには、中澤さんが団長を務め、県下のクラシックファンには名を知られた市民オーケストラがある。その名も「新みかぼフィルハーモニック」http://newmikabo.ame-zaiku.com/。「群馬のクラシック、藤岡にあり!」とばかりに活躍する中澤照雄さんのお話に耳を傾けあれ。
インタビュアー:梶原恭子(広報部)

天田隆之事務局長(左)と

天田隆之事務局長(左)と

まずは、中澤さんが団長を務める「新みかぼフィルハーモニック」についてお聞かせください。

2000年4月に創設し、今年の4月で創立14年目を迎える、群馬県藤岡市を本拠地とするアマチュアオーケストラです。現在の団員数は70名程度。週に1回の練習を重ねて、夏と冬年2回、定期演奏会を開催しています。団員一人ひとりが音楽・演奏を楽しみ、それがお客さんに伝わるよう、また、団の規約にあるように「子どもからお年寄りまでを対象とした音楽の演奏活動を通じ地域文化の発展に寄与する」ことを忘れないように、活動を続けています。

ずばり特色はなんですか?

群馬県には他にもいくつかアマチュアオーケストラがありますが、新みかぼフィルは県下で今一番勢いがあるオーケストラではないでしょうか。団員は年々増え続けていますし、定着率も良い。初心者大歓迎。団員同士の結婚ももう4組誕生しています。年間1,500名ものお客さんが演奏会に足を運んでくださるのは、クラシックファンに限らず、地元のいろいろな方々に愛されているからだと思います。

中澤さんが「新みかぼフィルハーモニック」の団長になったのは2010年のこと。そこに至るまでには数々のドラマがあったそうなのだが、ここでちょっと、中澤さんの生い立ちと、行政書士としての業務についてお聞きしてみよう。

中澤さんご自身も、藤岡市のご出身だそうですね。

生まれも育ちも藤岡市です。大学と社会人になってからの勤め先は東京でしたが、それ以外はずっと藤岡で生活しています。先祖は1590(天正18)年、信州佐久から藤岡に配置転換になった藤岡城主、芦田康貞とともにこの地に移住してきたと聞いています。藤岡は、古くから絹の産地として栄え、中山道・川越街道の合流する交通の要衝ですが、ご先祖も川越街道を伝って藤岡に根付いたんですね。

藤岡市みかぼ未来館にて

藤岡市みかぼ未来館にて

中澤さんの音楽との出会いはいつ頃だったのでしょうか。

藤岡中学校時代、担任が若い独身の理科の先生で、最初に入部した科学部仲間と下宿によく遊びに行ったんです。その先生がクラシックファンで、膨大なLPのコレクションを持っていた。それを聞かせてもらっている間に「クラシックっていいなあ」と。科学部と掛け持ちで吹奏楽部にも入ることになり、最初に音が出たクラリネットを選ぶことにした。フルートもいいなあと思ったんですが、音が出なかったんです(笑)。

以後、クラリネットと共に人生を歩んでらした…。行政書士として藤岡で開業なさるまでの経緯を教えていただけますか。

東京の大学に通い(オーケストラに所属)、その後印刷会社に就職しました。理系だったので技術職で15年近く勤めたのですが、だんだん「このままずっと今の仕事を続けるのかなあ」と。会社で技術に伴う特許や契約を目にする機会があり、そっちのほうが面白そうだと。当時長男が生まれたばかりで、勤めを辞めると言うと妻は猛反対しましたが、その反対を押し切って猛勉強、半年後の行政書士試験に合格、合格の年に開業しました。1994(平成6)年のことです。以後ずっと、建設業や環境系の許認可を中心に仕事を続けています。

さていよいよ、新みかぼフィルハーモニックとの関係が始まります。

きっかけは犬の散歩でした。犬の散歩中に前団長の奥様とおしゃべりするようになり、私がクラリネットを演奏することを知った奥様から入団のお誘いがあって参加するようになりました。

2010年に団長になられた経緯をお話しいただけますか。

忘れもしません。2008年の初秋、自宅駐車場からオーケストラの練習に出発する寸前に、前団長から携帯に着信がありました。ご自分が進行性の癌であり、しばらく休団すること、ついては、その年の冬の定期演奏会の統括を任せたいとの内容でした。しばらくその場を動けなかったことを覚えています。冬の定演は、チャイコフスキー「くるみ割り人形」の演奏に合わせてお話を朗読し、画家の方に用意していただいた15枚の絵をオーケストラピットのPCを操作してステージ上に投影する、というかつてない試みが企画されていました。団長代行としてなんとか公演を成功させ、それが団の統括としての試金石になったのかと思います。前団長は2009年に最後のステージに立ち、翌年2010年1月の総会で、新しい団長に選ばれました。

練習風景 常任指揮者:片岡良允先生

練習風景 常任指揮者:片岡良允先生

団長になってみて、どんなことを考えられましたか。

前団長は、新みかぼフィルハーモニックを一から創られてきた方です。藤岡にクラシックを根付かせたいという並々ならない熱意をお持ちで、人望も厚い方でした。じゃあ新参者の自分ができることはなんだろうと考えてみたとき、それは、できるだけ多くの団員に団の運営に関わってもらうという組織体制づくりだろうと。以後4年の間に、数人の役員を段階的に17名に増やし(現在では団員の4分の1程度)、定演の選曲委員会の選曲の手順を透明化し、規約やアンケート集計のシステムを整備してきました。高崎市の浜川運動公園内のプールのロビーで演奏するなど、演奏会場以外での演奏活動も始まっています。

練習風景

練習風景

そこに行政書士の経験は役に立っているのでしょうか。

もちろんです。契約書や規約づくりはお手のものですし、人口の多い高崎市からどうやってお客様を誘致しようか、といった視点は、日頃から企業経営者に接しているからこそ生まれるものではないかと。自分でも事務所経営の苦労は知ってますしね(笑)。現在団が練習会場として使用している藤岡総合学習センターですが、建設の計画が市報に掲載されたとき、「オーケストラの練習ができる広い部屋を作ってほしい」「大きめの打楽器を載せられるよう、エレベーターも大きめのサイズにしてほしい」と市に掛け合ったときの担当者は、開発許可で顔なじみの職員さんでした。行政と折衝し慣れているという点も、前団長の指名の要因のひとつだったのかもしれません。

藤岡市との連携も進んでいますね。

2010年には、地元の県立高校の統廃合が行われるにあたって、「思い出の校歌を残そう」という企画が立ち上がり、CD録音に協力しました。また、2011年の震災後の定演では、藤岡に避難してらっしゃった福島の方々をご招待し、特別プログラムを演奏してとても喜んでいただきました。今年は、地元の「FEEL」というショッピングセンターで、ミニコンサートを開きたいと思っています。

演奏会
さて、今年の6月の定演も近づいてきましたが、どんなプログラムになりそうですか。

今年は「藤岡市制施行60周年記念」企画として、ベートーベンの序曲「コラリオン」と「交響曲第九番」をやります。第九については、新みかぼフィルが自前で養成した合唱団の皆さん方に合唱を受け持っていただきます。6月14日(土)18:30開演、みかぼみらい館大ホールにて開催、無料です。ぜひ聴きにいらしてください!

最後になりましたが、団とご自身の今後についてお聞かせください。

団も創設14年を迎え、今後は、世代交代に向けての体制を整えていきたいと思っています。また、ただ演奏会を開く、レパートリーを増やす、というだけではなく、団の理念を実現するという観点を大事にしたい。群馬県のクラシックファンを増やすことももちろんですが、地元の象徴になるような団に育っていってほしいと思います。

後進を育てるという意味では、行政書士としても同じですね。私の事務所から独立していった仲間も何人かいますし、有望な若手には、仕事を手伝ってくださるよう声をかけています。また、群馬県行政書士会の業務推進グループリーダーとして、許認可だけでなく、新しい業務の可能性も追求しています。特に、「見えない資産」を生かして会社を元気にする知的資産経営については、NPO法人を設立して普及に務めています。新みかぼフィルハーモニックを知的資産経営の観点から分析した資料も既に作成済みです。今後も音楽と行政書士業務を楽しんで生きていきたいです。

ありがとうございました。

中澤照雄(行政書士)

中澤照雄(行政書士)

1950(昭和25)年群馬県生まれ。印刷会社勤務を経て1994(平成6)年行政書士登録。群馬県行政書士会企画開発部理事、同業務推進グループリーダー、特定非営利活動法人ぐんま知的資産経営ファーム理事長。

*1 http://www.ur-net.go.jp/urbandesign/interview/interview15.html

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